当社創業直後にその話は飛び込んできました。
トラベルハウスをベースに屋外の現場で移動が容易な作業員休憩所を作れないかという某企業のお問合せでした。
出された条件は以下のようなものでした。
既存のトラベルハウスとの違いと対応方法も併記しました。
- ・道路工事車両の規格として窓は歩道側(左側面)にあること
⇒トラベルハウスは駐車時にハウス内を見られないよう歩道と反対側に当たる右側面に標準窓を設置していたので、フレームを左右逆に使えるようにフレーム仕様を変更しました。
- ・軽トラへの固定はラッシングベルトを使用し、ハウスの取付取外しをクレーンで吊って行える構造であること
⇒トラベルハウスは金具を使って軽トラの荷台に固定しています。
ラッシングベルトは元々自立架台用にハウスの前後左右に設置したボルトを活用して取付けられるようにし、吊り金具はフレームを補強した上で新たに設置しました。
- ・照明は事務所の環境基準も踏まえて光度を確保すること
⇒トラベルハウスは少し淡い住宅玄関用のポーチライトを使って壁面に照明を設置していたので、天井中央にLEDチューブライトを設置して光度を確保しました。
- ・作業靴を履いたままで使え、メンテがし易い床材にすること
⇒トラベルハウスはハウスですから靴を脱ぐ前提でクッションフロアシートを使用していましたが、土足対応かつ濡れても大丈夫な防滑性シートに変更しました。
- ・作業員が休憩時に腰かけられる椅子を設置し、椅子は休憩所の移動時に収納できるものであること
⇒トラベルハウス用の既存オプション家具では合うものが無く、全く別物で収納できる椅子とテーブルを作りました。
- ・エアコンを標準装備とし、窓の外に日除けを付けること
⇒これらはトラベルハウス、トラベルキッチンのオプションとして既にあるもので対応できました。
注文はかなり細かいのですが具体的な図面があるわけではなく、こんな感じの試作品を1カ月で作って欲しい、それでGOとなれば3~4カ月で30~40台発注の予定とのことでした。
そもそも通常トラベルハウスを作るのに資材の調達、加工から完成まで2~3カ月かかるところを1カ月で、しかもトラベルハウスとは違う資材を選定調達して試作品を完成させるのはかなり無謀なことでしたが、創業期の当社にとっては是が非でも受注したい案件だったので、製造現場の踏ん張りで何とか間に合わせました。
試作品に対してはいくつかの注文が付いたものの、目出度くGOサインが出て正式受注となったのです。
この案件は創業直後の当社の基盤作りに大いに寄与をしてくれました。
今も北海道から九州までその時に製造したオフィスが活躍してくれているそうです。
それが今、販売しているトラベルオフィスの原型です。
その後、コロナ禍の影響が拡がり、密の回避ということでキャンピングが脚光を浴びてトラベルハウスにはフォローの風が吹きましたが、オフィスは感染防止のため工事そのものの減少や狭いスペースで人が集まって休憩するのは密のリスクということで大逆風となり、新たな注文がほとんど入らなくなりました。
基本的に同じ形のシェルですが、使用目的が違うだけで真逆の流れとなるとは。。。
皮肉なものです。
今年に入ってようやくコロナ禍も落ち着きました。
オフィスのお問合せも少しずつ増えています。
当社としても、現場で働く人たちのオアシスとしてトラベルオフィスの活躍する場が増えていくことを期待しています。